ポータルサイト制作を依頼する前に|掲載情報・検索機能・運営体制の決め方
ポータルサイト制作を依頼する前に、掲載情報・検索条件・更新担当を結び付けて整理する方法を解説。情報サンプルを使い、登録から掲載終了までを確認しながら、社内で担う作業と制作会社への依頼範囲を考えます。

ポータルサイトの作成を依頼する際は、まず「誰が何を探し、見つけた後に何をするか」を決め、そのための掲載情報、検索条件、更新担当を結び付けて整理しましょう。代表的な情報サンプルを使い、登録から検索、修正、掲載終了までをたどると、制作会社に依頼したい作業と社内で担う作業を具体的に話せます。
この記事では、顧客や取引先が複数の情報から必要なものを探す企業向けポータルを対象に、依頼前の整理方法を説明します。最初からすべてを決める必要はありません。手元にある資料と、まだ決まっていないことを分けるところから始められます。
誰が何を探し、見つけた後に何をするかを決める
ポータルサイト制作の出発点は、利用者の具体的な探し方です。「検索機能が欲しい」という段階から、次の内容へ掘り下げます。
- 利用者は誰か。
- 企業、施設、サービスなど、何を探すのか。
- どのような条件で候補を選ぶのか。
- 一覧で何が分かれば、詳細を読む判断ができるか。
- 詳細を見た後、どの行動につなげたいか。
例えば、説明用の仮定として、取引先が掲載企業を探すポータルを考えます。利用場面は「取引先の担当者が、対応地域とサービス分類で企業を絞り込み、詳細ページで対応内容を確認する」と表せます。
その先に問い合わせを想定するなら、誰への問い合わせなのかも確認します。掲載企業へ直接連絡するのか、運営側が受け付けるのかで、必要な案内や管理作業が変わるためです。
まずは、このような利用場面を一文にしてください。後で機能の候補が増えたときも、「この探し方に必要か」を判断する軸になります。
掲載する情報を、検索と更新に使える項目へ整理する
次に、一件の掲載情報が何を表すかを決めます。企業を紹介するのか、企業ごとのサービスを紹介するのかによって、登録する単位も必要な項目も変わります。
先ほどの掲載企業を探す例なら、企業名、対応地域、サービス分類、対応内容などが候補です。特に、検索で絞り込みたい条件は、登録する情報の項目としても整理してください。「地域で探せるようにしたい」場合は、本社所在地で探すのか、実際の対応地域で探すのかを区別する必要があります。
以下は、この仮定のポータルで使う整理例です。自社の掲載対象に合わせて項目を置き換えてください。
| 項目 | 公開・内部管理の区分例 | 検索での用途 | 資料提供・確認担当の検討例 |
|---|---|---|---|
| 企業名 | 公開 | 企業名での検索、結果一覧の表示 | 掲載企業が提供し、運営側が表記を確認 |
| 対応地域 | 公開 | 地域による絞り込み | 掲載企業が提供し、変更時の連絡先も確認 |
| サービス分類 | 公開 | 分類別の閲覧、条件検索 | 掲載企業の申告を基に、運営側が分類を確認 |
| 掲載期限 | 内部管理。必要に応じて公開 | 掲載中の情報を検索対象にするための判定 | 運営側が期限と継続確認の担当を決定 |
各項目には、必須か任意か、誰から資料を受け取るか、変更時に誰が確認するかも添えます。内部連絡用の担当者情報など、管理には必要でも一般公開しない項目は分けておきましょう。
掲載項目と検索条件を対応させた例として、宮城県の就職情報ポータルサイト構築・運用保守の仕様書があります。第7-2節では地域・業種などによる企業検索を求め、第8-2節では採用条件の登録と企業条件検索を対応させています。これは特定の就職情報ポータルに対する調達要件ですが、検索に必要な情報を登録段階から考える際の参考になります。
資料がそろっていない項目は、空欄のまま理由を書き添えて構いません。「提供元へ確認が必要」「分類の決め方が未定」と分かれば、それ自体が制作会社との相談事項になります。
検索機能は、具体的な探し方から絞り込む
検索機能は、利用者が何を手掛かりに探すかに合わせて選びます。
| 探し方 | 向いている利用場面 | 依頼前に確認したいこと |
|---|---|---|
| キーワード検索 | 企業名や探したい内容の言葉が分かっている | 名称だけを検索するか、説明文も含めるか |
| 分類別の閲覧 | 名前は分からないが、探す分野は決まっている | どの分類を用意し、どこから選べるようにするか |
| 条件による絞り込み | 対応地域など、外せない条件がある | どの項目で絞り込み、複数の条件をどう組み合わせるか |
例えば、地域とサービス分類を選べるようにするなら、「選んだ地域に対応し、かつ選んだサービスを提供する企業」を表示したいのかを確認します。同じ分類を複数選ぶ場合にも、そのいずれかに該当すればよいのか、すべてに該当する必要があるのかを言葉にしておきます。
検索の入口にも選択肢があります。デジタル庁デザインシステムの検索ボックス利用例では、サイト内の検索、メニューによる検索範囲の絞り込み、よく使うキーワードを入力せず選べる入口が示されています。これらをすべて採用するのではなく、想定した探し方に合うものを検討しましょう。
あわせて、結果の並び順と一覧に表示する情報を決めます。掲載企業を探す例なら、一覧で企業名、対応地域、サービス分類を確認できればよいのか、対応内容の短い説明も必要なのかを、実際のサンプルで判断します。
結果が見つかる場面だけでなく、次の場合も確認してください。
- 該当する情報がない場合:条件を変更・解除して探し直せるようにするか。
- 項目が未登録の場合:未登録であることをどう表示し、絞り込みではどう扱うか。
- 掲載期限を過ぎた場合:検索結果から外すか、終了済みと分かる形で残すか。
最初から複雑な検索を用意する必要はありません。想定した利用場面を満たす機能を初回公開の範囲とし、別の探し方に対応する機能は追加候補として分けると、依頼範囲を話し合いやすくなります。
公開後の更新担当と、掲載を終える条件を決める
CMSなどの管理機能を設ける場合も、実際に情報を受け取り、確認して公開する人を決める必要があります。「更新担当」を一つの役割としてまとめず、作業ごとに責任を確認しましょう。
| 作業 | 決めておくこと |
|---|---|
| 資料の提供 | 誰から情報を受け取り、不足や変更を誰に確認するか |
| 登録・入力 | 誰が管理画面へ入力し、修正するか |
| 内容の確認 | 表記や内容の正しさを誰が確認するか |
| 公開・承認 | 誰の判断で一般公開し、変更を反映するか |
| 掲載の終了 | 期限や終了連絡を誰が確認し、掲載を止めるか |
例えば、掲載企業が情報を提供し、自社の運営担当が入力する方法もあれば、掲載企業が直接編集し、運営側が確認する方法もあります。後者を選ぶなら、掲載企業が変更できる項目と、承認が必要な変更を分けて検討します。外部の編集用アカウントや承認機能が必要かどうかも、この分担から判断できます。
更新のきっかけは、内容変更の連絡、掲載期限の到来、定期確認などから、扱う情報に合うものを決めます。確認の頻度に加え、担当者が不在の場合や、掲載企業から返答がない場合に誰が引き継ぐかも残しておきましょう。
公開後の情報管理について、デジタル庁のウェブコンテンツガイドライン(2025年9月30日決定)の第16〜17章では、情報の正確性、更新方法の一貫性、コンテンツのライフサイクルなどを扱っています。また、失効しても閲覧できる状態を保つ情報については、利用者が有効性を判断しやすくすることを示しています。
同ガイドラインの対象は各府省のウェブサイトですが、企業のポータルでも、終了した情報をどう扱うかは決めておきたい点です。例えば、記録として残す必要があるなら終了済みと表示し、現在の情報を探す一覧とは分ける方法を検討できます。残す理由がない場合は、掲載を終了する条件を定めます。
ここまでの担当と条件が決まると、必要な管理機能を、実際の運用に結び付けて説明できるようになります。
情報サンプルを使って、制作と運用の依頼範囲を確認する
最後に、手元にある代表的な情報を使って、登録から掲載終了までを順にたどります。整理用の表だけで判断せず、「この情報なら誰が、何をするか」を具体的に確かめる作業です。
- 登録する:資料のどこから各項目を入力するか。足りない情報は誰に確認するか。
- 検索する:想定した条件で候補に入り、一覧と詳細から必要な内容を判断できるか。
- 修正する:対応地域などが変わったとき、誰が連絡し、入力・確認・公開を行うか。
- 掲載を終える:期限や終了の連絡を受けて、誰が検索対象や公開状態を変更するか。
この途中で説明できない箇所があれば、制作会社に相談したい事項として残してください。例えば「掲載企業から変更連絡を受ける方法が未定」なら、連絡を受けた後の社内作業と、システムに必要な操作を分けて検討できます。
ポータルサイト制作の依頼範囲では、次の作業も個別に確認しましょう。
- 初回の資料整理・登録:既存資料を誰が項目に分け、初回公開分を誰が入力するか。
- 日常の内容更新:公開後の情報収集、内容確認、入力を誰が続けるか。
- システムの保守:システム側の保守作業をどこまで委託するか。
それぞれについて、社内で担う部分と外部へ依頼したい部分を明らかにします。内容更新とシステム保守が同じ契約に含まれるかも、依頼先に確認が必要です。サンプルを通して整理する目的は、必要な機能と、それを使う人の作業を合わせて話せるようにすることにあります。
Kizashiは、Webサイト制作と業務・Webシステム開発を提供しています。掲載情報の登録、検索、編集権限、承認などを開発範囲として相談したい場合は、掲載管理や承認の流れを含む業務・Webシステム開発について確認するから、関連するサービス内容をご覧ください。具体的なポータルの要件に対応できるか、どこまでを依頼できるかは、個別に確認できます。
相談に向けては、現時点の情報サンプル、利用者に実現してほしい探し方、まだ決まっていない更新責任を共有すると、検討したい範囲が伝わります。完成した要件書を用意してから相談する必要はありません。まずは、今ある情報で登録から掲載終了までをたどり、決めるべきことを一緒に話せる材料にしていきましょう。