ホームページ制作のRFPはどう書く?提案依頼書にまとめたい項目と進め方
ホームページ制作を外注する担当者向けに、RFPにまとめたい項目と書き方を解説します。目的・依頼範囲・予算・日程の整理から、未定事項の扱い、各社に共通の条件を伝えて提案を比較する進め方まで紹介します。

ホームページ制作のRFP(提案依頼書)には、まず「サイトで解決したい課題」「依頼する範囲」「予算や公開日などの制約」を書きます。そのうえで、制作会社に提案してほしい内容と、見積もりの前提・作業分担を共通の項目で回答してもらえるように整理しましょう。
CMSやページ構成まで、最初からすべて決める必要はありません。決まっていること、提案を求めたいこと、これから確認することを分ければ、未定事項を残したままでも検討を進められます。
この記事では、RFPにまとめたい項目と書き方、未定事項の扱い、社内確認から提案比較までの進め方を説明します。
RFPは、制作会社に同じ条件で提案してもらうための資料
RFPは、発注側が背景・目的・要求や提案の手続きを伝え、制作会社から具体的な提案を受けるための資料です。
IPAの『ストーリーで学ぶ要件定義実践入門』(2019年3月27日発行、本文33〜34ページ)でも、RFPの役割と、複数の依頼先に同じ資料を渡して共通理解をつくること、評価基準を明確にすることが説明されています。情報システム導入を対象とした資料ですが、ホームページ制作の委託条件を整理する際にも参考になる考え方です。IPA『ストーリーで学ぶ要件定義実践入門』
ホームページ制作では、同じ「リニューアル」という依頼でも、原稿作成や既存記事の移行、公開後の更新支援を含むかで作業範囲が変わります。総額だけを並べても、その違いは分かりません。RFPで共通の条件を示し、各社に含まれる作業と見積もりの前提を説明してもらうことが、比較の出発点になります。
RFPは、最初から完成した技術仕様書である必要はありません。自社で守りたい条件を明確にしつつ、制作会社が方法を提案できる余地を残すことが大切です。
ホームページ制作のRFPにまとめたい項目
以下は、ホームページ制作を外注する際の整理項目です。固定の書式に当てはめるより、各項目について「何が決まっていて、何を回答してほしいか」が伝わるように書きましょう。
背景・目的・届けたい相手
なぜ今、新規制作やリニューアルが必要なのかを書きます。見た目の希望だけでなく、サイトを使って解決したい業務上の課題を説明してください。届けたい相手と、その人にサイト上で取ってほしい行動も併せて整理します。
成果目標は、測定の根拠があれば記載します。まだ現状を把握できていない場合は、無理に増加率などを設定せず、解決したい課題と目指す状態を言葉で示しましょう。対象読者や優先する目的が社内で決まっていない場合は、確認が必要な事項として残します。
現状の課題と対象範囲
既存サイトがある場合はURLと主要な課題を記載し、今回の対象となるサイトやページを示します。関連サイトをすべて改修するのか、一部だけを扱うのかも明確にしましょう。新規制作であれば、現時点でサイトがないことを書けば十分です。
対象ページの洗い出しが終わっていない場合は、その状態を伝えます。範囲が未確定なのに「既存サイト全体」とだけ書くと、各社が異なるページ数や作業量を想定する可能性があります。確定している対象と、追加確認が必要な対象を分けて記載してください。
依頼する作業と自社の担当範囲
企画、構成、デザイン、実装、原稿作成、撮影、既存コンテンツの移行について、制作会社と自社のどちらが担当するかを整理します。「制作一式」でまとめず、依頼する作業、自社で対応する作業、提案を求める作業を区別しましょう。
分担が決まっていない作業は、見積もりに含める場合と含めない場合を分けて説明してもらう方法もあります。原稿を自社で用意するなら、制作会社による編集や入稿まで必要かも確認します。素材を渡すことと、公開できる状態に整えることは、別の作業として考えると整理しやすくなります。
必要な機能と更新・管理の条件
機能は、名称だけでなく用途を書きます。問い合わせフォームなら何を受け付けるのか、コンテンツ更新なら誰がどの情報を更新するのかを説明してください。利用する人と管理する人の両方を意識すると、必要な条件を伝えやすくなります。
CMSなどの技術方式が未定なら、先にツールを指定するのではなく、自社で行いたい更新作業を示したうえで方式の提案を求めます。提案には、採用する理由、運用上の負担、制約も含めてもらいましょう。必須の機能と、予算などを見て採用を判断する機能を分けることも有効です。
提供できる素材と移行する内容
会社案内、商品・サービス資料、写真、ロゴ、既存原稿など、提供できる素材を整理します。既存サイトの内容は、そのまま残すもの、書き直すもの、削除するものに分け、移行が必要な範囲を伝えます。
素材や移行対象の数量が分からない場合は「確認中」とし、見積もりではどの範囲を仮定したか明記してもらいましょう。未確認の数量を確定条件として扱わないことが重要です。
公開されている調達資料でも、作業範囲は具体的に示されています。札幌市のホームページ再構築・CMS導入業務では、構造設計やデザイン制作に加え、コンテンツ移行、職員研修、公開後の支援・運用保守が業務概要に挙げられています。公共サイトの要件をそのまま採用する必要はありませんが、制作以外の作業も明記する際の参考になります。札幌市のホームページ再構築・CMS導入業務の公募資料(2025年7月1日更新)
予算と公開までの日程
承認済みの予算や上限があれば、何を含む金額なのかと併せて記載します。初期制作だけの予算なのか、撮影や移行なども含むのかを明確にしてください。予算がまだ承認されていない場合は、その状況を伝えます。
見積もりでは、初期制作費と公開後に継続して発生する費用を分けてもらいましょう。保守などの対応範囲も併記してもらうと、金額の前提を確認できます。
公開希望日には、変更できない期限なのか、調整できる目安なのかを添えます。事業上の理由がある場合は、その理由も伝えてください。制作会社には、素材提供や自社の確認作業を含めて、実現に必要な日程を提案してもらいます。
納品物・確認担当・公開後の対応
完成したサイトに加え、どのような資料やデータを受け取りたいかを整理します。更新マニュアルや操作説明が必要なら、その希望も書きましょう。制作中の確認担当者と、最終的に承認する人も明確にしておきます。
公開後については、自社で更新する範囲と、外部に依頼したい保守・支援の範囲を分けます。必要な対応が決まっていなければ、内容と費用の提案を求めてください。制作物の利用条件やアカウントの管理・引き継ぎについても、確認したい事項として記載します。
提案の提出方法と比較したい内容
提出期限、提出方法、連絡窓口を記載し、各社に回答してほしい項目をそろえます。少なくとも、次の内容を確認できるようにしましょう。
- 課題に対する提案内容と、その方法を選ぶ理由
- 作業範囲と自社・制作会社の分担
- 担当体制と進行日程
- 費用の内訳と継続費用
- 見積もりに含まれない作業と、前提としている条件
自社が重視する点も伝えます。公開期限、更新のしやすさ、既存コンテンツの扱いなど、目的や制約に結び付けて書くと、各社も提案の重点を判断できます。
決まっていないことは、提案事項と確認事項に分ける
CMSや移行対象の数量が決まっていなくても、それだけでRFPを出せないわけではありません。ただし、未定の内容を一括して「相談」とすると、制作会社が自由に提案してよい部分と、自社の確認を待つ部分が分からなくなります。
次のように分けると、相手に求める対応が明確になります。
| 区分 | 書く内容と求める対応 |
|---|---|
| 確定事項 | 決定済みの条件を記載し、その条件を満たす提案を求める |
| 提案を求める事項 | 実現したいことを示し、方法・理由・費用などの説明を求める |
| 要確認事項 | 未確認の内容を示し、確認担当や確認予定、見積もり上の仮定を整理する |
仮の記入例:お知らせの更新と既存記事の移行
- 確定事項:公開後のお知らせ更新は、自社の担当者が行う。
- 提案を求める事項:担当者が更新できる仕組みと、導入・運用上の条件を提案してほしい。
- 要確認事項:移行する既存記事の数量は自社で確認中。概算では、想定した数量と作業範囲を明記してほしい。
この区分とは別に、要望の優先度も示します。必須条件と、費用や運用負担を見て判断する項目を分ければ、提案の違いを読み取りやすくなります。
前述のIPA資料でも、中小企業が詳細な要求を最初から整理できない場合に、概要と状況を伝え、依頼先と要件を具体化する進め方が示されています。一方、提案時の概算と、要求が明確になった後の正式な見積もりは区別されています(本文32・34ページ)。
未定事項を含む段階では、提示された金額をそのまま最終契約額と考えず、何を仮定した概算なのかを確認しましょう。範囲を具体化した際に、金額や日程をどのように確認し直すかも相談しておくと、次の判断につながります。
社内確認から提案の比較までの進め方
1. 目的と制約を社内で確認する
RFPを送る前に、目的、依頼範囲、予算、公開日について関係者の認識をそろえます。決まっていないことは、提案を求めるのか、自社で確認するのかを分けて残しましょう。
すべてを確定させることより、制作会社に伝える条件が社内で食い違っていないかを確認することが先です。
2. 各社に同じ版と回答項目を渡す
複数の制作会社に依頼する場合は、同じ版のRFPと添付資料を渡します。提案書に含めてほしい内容も共通にしてください。
条件を変更した場合は、変更点が分かる形で各社に共有します。会社ごとに異なる条件を伝えると、後から金額や作業範囲を比較しにくくなります。
3. 質問を受け付け、条件に関わる回答を共有する
質問の受付期限と窓口を設けます。質問によって対象範囲や素材の状態が明らかになった場合など、提案の前提に影響する回答は、同じ条件で提案できるよう各社に共有しましょう。
質問と回答をRFPの補足として残しておくと、提案を確認するときにも参照できます。
4. 前提をそろえてから提案と金額を比較する
提案を受け取ったら、総額を見る前に、対象範囲、仮定、除外事項、分担、継続費用を確認します。同じ作業が含まれているか、自社に必要な対応が残っていないかを見てください。
前提が異なる場合は、各社に確認してから比較します。提案内容の違いと、単に見積もりに含まれる作業の違いを分けて考えることが大切です。そのうえで、自社の目的と制約に照らし、提案した方法や日程が適しているかを判断しましょう。
目的と依頼範囲を整理して、制作の検討につなげる
まずは、サイトの目的、依頼する範囲、守りたい条件、未定事項を書き出してください。次に、各社が同じ内容に回答できるかを確認します。この順序なら、技術方式が決まっていなくても、提案を受けるための条件を整理できます。
依頼範囲が見えてきたら、実際の制作サービスと照らし合わせてみましょう。Kizashiでは、ホームページの新規制作・リニューアルを扱っています。整理したRFPを手元に、サービス内容と照合し、今回依頼したい作業に合うか、個別に確認したい点は何かを確かめてください。





